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元宝塚トップ娘役で、現在はミュージカルをメインに活躍する愛希(まなき)れいかさん。12月に上演される舞台「泥人魚」で、初のストレートプレイに挑み、NHK大河ドラマ「青天を衝(つ)け」の11月14日放送回から井上武子役で出演する。注目の愛希さんに舞台への抱負や、共演する宮沢りえさんや磯村勇斗さんとのエピソード、初めての大河ドラマ出演について聞いた。
◇唐十郎の舞台「泥人魚」では男装の麗人役に
元宝塚のトップ娘役で、現在は女優として活躍する愛希さん。「エリザベート」や「マタ・ハリ」などのミュージカルをメインに活躍してきたが、宮沢さん主演の舞台「泥人魚」で初のストレートプレイに挑戦する。
「唐十郎さんの舞台は何度か拝見していて、女優としていつかあの舞台に出演したいと思っていた時に、このお話をいただいたんです。それも宮沢さんをはじめ、すごい共演者さんと演出家さんで。その上、『泥人魚』は唐十郎さんの作品の中でも愛されてきた作品。不安もありましたが、うれしかったです」と、目を輝かせる。
「泥人魚」は、「ヒトか魚か分からぬコ」と呼ばれる女(宮沢さん)とブリキ店に勤める蛍一(磯村さん)をめぐる唐十郎の名作戯曲。愛希さんは「月影小夜子」という男装の麗人を演じる。
「唐さんは、これまで舞台に(元宝塚の)春日野八千代さんを登場させていたように、宝塚の男役に理想の女性像をみていたそうです。男気のある女性に憧れとロマンを感じていたのかなと思いました」
宝塚の舞台で活躍していた愛希さんの凛々しい男装姿が注目されそうだ。
◇稽古場での宮沢りえからのアドバイスで奮起
稽古(けいこ)場では、初めての唐十郎の世界に奮闘していた愛希さんに、宮沢さんが助言をくれたという。
「『唐さんの舞台は考えるより感じた方がいい、とりあえず熱量をもって声に出して言えばわかることがあるかもしれないよ』とアドバイスをいただきました。確かに、読んでいるときはわからないことも、実際にやってみると面白さを少しずつ感じて……。宮沢さんは、ビー玉のように美しくて透明な瞳で……演技をされているお姿に吸い込まれそうになってしまいます。本当に素晴らしい方です」
劇中で、月影小夜子は、主人公の蛍一と出会い、恋をする。蛍一役を演じるのは、今人気の若手俳優、磯村さんだ。
「泥水のような世界で生きてきた月影は、蛍一の瞳の中に純粋な美しさを感じて、初めての恋に落ちるんです。まあ、すぐに失恋するんですけど……(笑い)。磯村さんは、膨大なセリフをけいこの最初の段階から覚えてこられて、すごい熱量に圧倒されます。本当に演劇が好きなんだなと感じました」
パワフルな役者たちが生む詩情あふれる舞台に期待が高まる中、愛希さんはキャラクターの二面性にも注目してほしいという。
「月影も、強い女性なのに恋をして乙女になりますし、風間杜夫さん演じる老人は、夜になると突然ダンディな紳士に変身するんです。どの役も二面性をもっていて、すごく個性的でおもしろいんです。そんなところもぜひ楽しんでもらえたら」と、意気込みを語る。
◇「青天を衝け」では「鹿鳴館の華」と呼ばれた女性に
そんな愛希さんには、もう一つの大きな挑戦がある。NHKの大河ドラマ「青天を衝け」で、井上馨(かおる、福士誠治さん)の妻で、「鹿鳴館の華」と呼ばれた「井上武子」を演じるのだ。
「大好きなドラマでしたので、出演が決まったときは驚きました」という愛希さん。
「出演するのは、女性が多い華やかな回。私が演じる井上武子は、日本の向上のために夫と海外でマナーを学び、帰ってきた英語も流ちょうな女性です。お千代さん(橋本愛さん)とかよしさん(成海璃子さん)とか、奥様方にマナーを教えるシーンなど楽しく撮影はさせていただいたのですが、内心、こんな私でいいのかなと思ったり……(笑い)」と、照れたようにほほ笑む。
「青天を衝け」は一視聴者として拝見させてもらってましたので、ストーリーも明治時代に入り、どんどん話が大詰めになる中で出演できるのもうれしいですね」
映像の仕事ではフレッシュな愛希さんのさらなる冒険に期待したい。
(取材・文/NAOMI YUMIYAMA)
◇プロフィル
まなき・れいか 1991年生まれ。福井県出身。2009年3月、「宝塚歌劇団」に入団。同年、男役として初舞台を踏んだ後、娘役に転向。2012年に月組トップ娘役に就任。代表作に「ロミオ&ジュリエット」ジュリエット役、「エリザベート-愛と死の輪舞(ロンド)-」のエリザベート役など。放送中の大河ドラマ「青天を衝け」に出演中。
*……COCOON PRODUCTION 2021「泥人魚」▽演出:金守珍▽作:唐十郎▽出演:宮沢りえ、磯村勇斗、愛希れいか、風間杜夫ほか▽上演:Bunkamuraシアターコクーンで12月6~29日▽問い合わせ:Bunkamura(電話03-3477-3244)
*……後編は11月15日掲載予定