観月ありささん
怒濤(どとう)のような展開と俳優陣の怪演で「ドロキュン劇場」と話題になった、放送作家の鈴木おさむさんによる「奪い愛」シリーズの最新作「奪い愛、高校教師」が12月27日から4夜連続でABEMAとテレビ朝日で配信・放送される(12月20日より第1話の無料独占先行配信と放送終了後の全話見逃しをABEMA独占配信)。高校生の娘が通う学校の男性教師に恋い焦がれ、愛を“奪い合う”母親を演じる観月ありささんに、撮影の舞台裏や、変わらぬ美しさの秘訣(ひけつ)、デビュー40周年を迎えた心境などについて聞いた。(全3回)
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◇デビュー当時はツンとしていた?
4歳から芸能活動を始め、今年デビュー40周年を迎えた観月さん。14歳の時にシングル曲「伝説の少女」で歌手デビューしてから30年、数々のドラマや映画にも出演し、「奪い愛、高校教師」で「30年連続ドラマ主演」という大記録を更新した。
「20代はがむしゃら、30代は開き直り。辞めたいと思った時期もあった」と振り返るが、ここまで続けられた理由を尋ねると「やっていることはずっと同じなんですが、環境や関わる人が毎回変わるから新鮮だし、毎回、越えなきゃいけない山があって、それを乗り越えるたびに達成感も感じられる。だからこそ長く続けられているんじゃないかな」と考えている。
10代前半から少女向け雑誌「オリーブ」(現在は休刊)のモデルとしても大活躍。「媚(こ)びない女の子」のイメージに憧れを抱く少女も多かった。
「割とオトコマエな性格で大人びていたんです。記者の方からいかにも子供相手みたいな感じでインタビューをされると、『なんでそんなふうにしゃべるんだろう? 私もう、働いてるんだけど!』って子供ながらに思っていたりして(笑い)。
当時はいまより現場も厳しかったし、『仕事をしている』という意識がすごく高かったような気がします。でも、あまりにツンとしたイメージが浸透していたからか、当時は行く現場、行く現場で、大人たちに『怒ってる?』『君、笑うの?』って、聞かれることが多かった。ただ単に緊張していたり、眠いだけだったりしたんだけど、周りからはそう思われがちでしたね」
◇30代で世間の観月ありさ像と自分が一つに
その後、1991年に富士フイルムのイメージガールに起用され、「スマイル」がテーマだったことから、「そこから笑顔のイメージが浸透したみたいで、『怒ってる?』と言われなくなってきた(笑い)」と振り返る。
「昔はいろんなジレンマを感じることも多かったけど、年齢を重ねるにつれて自由になってきた」といい、「30代に入ったくらいから世の中の人が思っている観月ありさ像と自分の中にある観月ありさ像が、だんだん統一されていく感じがありました。周りも『もう大人だから』と認めてくれるようになってから、生きやすくなりましたね」
デビュー40周年を実感するのはどんな瞬間かと尋ねると「周りの人にいたわってもらえるようになったと感じるとき」だと笑う。
「『立ったままでも大丈夫だよ!』って言っても、現場で椅子をすぐに出してくれるし、スケジュールにもずいぶん気を使っていただいて……」と、「ベテラン扱いされることが増えてきた」としみじみ。
「でも私は子供の頃からこのペースでずっと走り続けてきてしまっているから、その場で足踏みすることの方が私にとっては難しい。常に前に進んでないと気が済まないんですよね。私、止まっていられないんです(笑い)」
◇人はいくつになっても進化できる
主役も脇役もどちらも演じられるようになったいま、演じることの面白さに改めて目覚めた様子で「40代になってからようやく自分なりにキャラクターを深堀りできるようになって、作品に対する向き合い方も“真面目”になりました。
昔は立ち止まっている暇すらなかったので『これはちょっと違うと思う』なんて、こだわりすぎると仕事にならないから『現場で判断して、現場で対処していこう』とずっと思いながらやってきたんです。もちろんいまでも瞬発力で乗り越える局面もたくさんありますが、最近は裏設定も考えるようになりました」
「奪い愛、高校教師」で演じる露子のバックボーンもあれこれ想像しているといい、「ただ三太さんに恋をして常軌を逸していく……というだけじゃなく、一人娘に対する母の執着心のようなものも少しだけエッセンスとして加えたいと思って、自分から監督に提案してみたんです。
キャラクターを深掘りすることが、こんなにも楽しいことだと気づけたことは私にとって大きな発見。『人はいくつになっても成長したり進化したりできるんだ』と実感しています」
(取材・文/渡邊玲子)
*……「奪い愛、高校教師」は、倉科カナさんが主演した連続ドラマ「奪い愛、冬」(2017年、テレビ朝日系)、水野美紀さん主演でABEMAにて配信された「奪い愛、夏」(2019年)に続く「奪い愛」シリーズの最新作。
看護師として働きながら高校生の娘・星野灯(岡田奈々さん)を一人で育てる主婦・星野露子(観月さん)が主人公。バイオリンをたしなむ露子は、音楽カフェでフルートを奏でる冬野三太(大谷亮平さん)と知り合い、恋に落ちる。三太には婚約者の十仲華子(松本まりかさん)がいることを知るが、露子の片思いはどんどんエスカレートし、三太を尾行するように。そんなある日、露子は三太が娘の学校の音楽教師だったことを知って……というストーリー。
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