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11月23日に開幕する舞台「守銭奴 ザ・マネー・クレイジー~」で主演する佐々木蔵之介さん
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11月23日に開幕する舞台「守銭奴 ザ・マネー・クレイジー~」で主演する佐々木蔵之介さん

佐々木蔵之介:笑えるぐらいチャーミングに演じたい 励みは「褒められること」 主演舞台が開幕へ

 映像や舞台などで多彩な役柄に挑戦し、世代を超えた人気を誇る佐々木蔵之介さん。11月23日から、東京・池袋エリアで開催中の東京芸術祭 2022で上演される舞台「守銭奴 ザ・マネー・クレイジー~」で主演する。現在、稽古(けいこ)中の佐々木さんに、最近の心境や癒やし、舞台に懸ける意気込みを聞いた。(編集・取材・文/NAOMI YUMIYAMA)

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 ◇役者の魅力はチーム力 仕事の癒やしは日々の晩酌

 「もともと僕は趣味がなくて、物事を長く続けることがなかったんです。ただ、大学で演劇サークルに入ったら役者だけじゃなくて照明、音響、大道具などいろいろな役割があってみんなと一緒にチームでやることが、続けられた理由かもしれない。自分が一人ではなくて仲間がいるということでパワーが出るんです」

 今回は演出を、佐々木さんにとって5年ぶりのタッグとなる、ルーマニアの巨匠シルヴィウ・プルカレーテさんが手掛ける。役者をする上で励みになるのは、「褒められることかな」とほほ笑む佐々木さん。

 「稽古場では毎日ダメだししかもらえないんですけど、外国人の演出家のいいところは、良かった時に『エクセレント!』とか言ってくれるんですよ(笑い)。今回の現場はフランス語なので『トレビアン』とか言ってもらえるのは、やっぱりうれしいです」

 若い俳優も多いが、彼らに対する先輩としての接し方を尋ねると、「後輩は、僕がセリフを忘れてもフォローしてくれる人がいいです」とちゃめっ気たっぷりに答える。続けて、「仲間とは適度な緊張を持ちつつ、なごやかにやりたいと思っています」と心情を明かした。

 そんな佐々木さんの癒やしは毎晩の自宅での晩酌。料理もときどき作ると話す。

 「この前、料理番組に出ましたけど、あれは簡単でした(笑い)。最近は友達からもらったニューデリーのルーがあったから、スーパーで鶏肉とゆで卵、野菜を買ってきてカレーを作りました。お酒は好きですね。そろそろ新酒が出てくるので、これからは日本酒かな。寒くなってきたから、いい酒ができるんじゃないかなと思いますね(笑い)」

 ◇初日の幕が上がらない? 信頼する演出家と2度目のタッグ

 舞台「守銭奴 ザ・マネー・クレイジー」は、今年生誕400年を迎えるフランスを代表する劇作家モリエールが生んだ傑作喜劇。この舞台で、佐々木さんは極度の倹約家で家族より金を愛する男、アルパゴンを演じる。

 「アルパゴンはすごくドケチで、金ですべてを自分のものにしたがるんです(笑い)。そんな彼がだんだん自分の独裁者ぶりで苦しんでいく。役作りとしては、一周回って笑えるくらいのチャーミングさを作れれば喜劇になるかなと思っています。独裁者になった彼が社会から隔絶され、逃げ場がなくなるところは、戦争が起こっている今の状況を思わせる。プルカレーテさんは、きっとそのへんのことも考えているんじゃないかな」

 5年前に上演され、絶賛された舞台「リチャード三世」に続き、2度目のタッグとなるプルカレーテさんは、佐々木さんが信頼を寄せている演出家の一人だ。

 「プルカレーテさんは、役者たちをまっさらな目で見てくれる。そこがいいですね。みんな平等に接してくれるんです。それに彼は、演劇の力を信じている。それは彼の生まれ育ったルーマニアの歴史や、今、現在の地政学的な面もあるのかもしれません」と、熱を込める。

 自由奔放な発想をする演出家だけに、毎回、稽古場は予測できないハプニングの連続のようだ。

 「プルカレーテさんには、僕たち役者が戯曲から読み取り、予想していることのはるか斜め上の演出をされることがよくあって。稽古場は常に刺激的で楽しいです。稽古場ではフランス語、英語、ルーマニア語が入り混じり、通訳を介すので単純に2倍の時間がかかります。この調子だと初日の幕が上がらないですね(笑い)。でもそれは前回も同じだったし、演劇だからこそできる自由な発想や表現、プルカレーテさん独自の毒のあるユーモアとかが、すごくおもしろいんです。400年前のフランスの戯曲が“今の世界”を現します」

 ◇プロフィル

 ささき・くらのすけ 1968年、京都府出身。大学在学中に、劇団「惑星ピスタチオ」に旗揚げから参加。1998年の退団後に上京して、本格的な俳優活動を開始した。テレビ、映画、舞台などで活躍。第17回読売演劇大賞 優秀男優賞、第40回菊田一夫演劇賞 演劇賞、第38回日本アカデミー賞 優秀主演男優賞受賞。

 *……「東京芸術祭2022 芸劇オータムセレクション『守銭奴 ザ・マネー・クレイジー』」▽作:モリエール▽翻訳:秋山伸子▽演出:シルヴィウ・プルカレーテ▽出演:佐々木蔵之介 加治将樹 竹内將人 大西礼芳 天野はな 茂手木桜子 菊池銀河 安東信助 長谷川朝晴 阿南健治 手塚とおる 壤晴彦▽東京公演:東京芸術劇場 プレイハウス(東京都豊島区)で11月23日~12月11日▽公式サイト:https://www.purcarete-fes.jp/shusendo

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