取材に応じた藤間爽子さん
<インタビュー前編>俳優&舞踊家の両立の強みを生かしたい プライベートでは「親友と旅行に行かなきゃ」
俳優、そして日本舞踊家の“三代目 藤間紫”としても活動し、日本舞踊紫派藤間流の家元も務める藤間爽子さん。NHK連続テレビ小説(朝ドラ)「ブギウギ」や、連続ドラマ「silent」(フジテレビ系)への出演で話題になり、現在は連続ドラマ初主演となる「つづ井さん」(読売テレビ、木曜深夜0時59分)が放送されている。11月1日に公開された黒木華さんの主演映画「アイミタガイ」(草野翔吾監督)にも出演する注目俳優に、作品のテーマとなっている人とのつながりなどについて聞いた。
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◇人の変化には「人並みに気づくタイプ」
映画「アイミタガイ」は、ウエディングプランナーとして働く梓(黒木さん)が、ある日突然親友の叶海(かなみ、藤間さん)を事故で失う。いつも一番の味方でいてくれた親友との別れを受け入れられず、立ち止まってしまう。娘の死を受け止められずにいた叶海の両親も、あるきっかけから叶海が生前どう過ごしていたのかをたどっていく。やがて、誰かを想ってしたことは、見知らぬ誰かをも救い、自分の元に返ってくるという“相見互い”の助け合いの心が、出会うはずのない人々を繋げ、小さな奇跡を起こしていく……というストーリー。映画は中條ていさんによる同名小説が原作。
藤間さんは台本を読んでまず「温かい作品だな」と感じたという。
「人との繋がりって、今は携帯やSNSなどいろんなところで繋がっているけれど、そういう目に見えるものよりも、実は誰かがこうしたことでこういう結果になっていた、という、目に見えないものも大切だなって思いました。いろんなエピソードが繋がっていく心地よさを感じました」
物語は叶海の事故死から動き出す。
「叶海は登場シーンがたくさんあるわけではないけれど、作品の中でずっと存在を感じられる人。しっかり芯があって夢を追いかけている。一見強そうな女性なんだけど、すごく繊細な部分を持っていて、ほかの人が気づかないで通りすぎてしまうようなことも、しっかりその変化に気づいてあげられる優しさを持っていて、さらに、手を差し伸べられる勇気を持っている」
そんなすてきな女性である叶海のような存在は、自身の周りにもいるという。
「私がちょっと元気がないときに『あれ、いつもと違うけどなにかあった?』と声をかけてくれる人はいます。いかに普段から相手のことを気にかけて見ているかっていうのを感じます。
私自身は気づくタイプかというと、人並みかな。そんなに鈍感でもないし……。親しい人とかずっと一緒にいる人の変化には気づくかもしれないですね」
◇シャイで感謝を口にできないが、親がいちばんの味方
劇中で描かれる叶海と両親の関係性も、見ている人を温かい気持ちにしてくれる。藤間さん自身の親との関係も聞いてみた。
「私はシャイなので、親に『ありがとう』とかあまり言えないタイプ。年齢を重ねて、親がいちばんの味方だとつくづく感じます。誰よりもこの仕事を応援してくれて、楽しみにしてくれて、なにかあったら助けてくれる存在です。
仕事で悩んだときは、実家に帰って、母のご飯を食べて、リビングでテレビを見ていたら、自然と心がチャージされていきます」
藤間さんは、日本舞踊家として家業も仕事にしているため、「家」という意識は強く、家族との繋がりも密接だという。中でも、母の存在は大きく、俳優業を始めるにあたって背中を押してくれたと振り返る。
「私は俳優業を始めるのも遅かったので、この仕事をするかどうか悩んでいたときに、『向いていると思うし、絶対にやったほうがいい』と言ってくれたのが母でした。私が出演した作品を見てくれるし、雑誌も買ってチェックしてくれています。『この雑誌に出たよ』って知らせると、『もう買いました』って返ってきます(笑)。
私がいろいろな作品に出させていただくことを母がいちばん喜んでくれていると思います。母も俳優をしていたので、ダメ出しなど信頼できる意見もくれます。ダメ出しされると『だって……』って言い訳してしまうけど、心の中では受け止めて次に生かしています」
<プロフィル>
ふじま・さわこ 1994年8月3日生まれ、東京都出身。2017年、NHK連続テレビ小説 「ひよっこ」で俳優デビュー。2021年2月、三代目藤間紫を襲名。連続ドラマ「silent」(フジテレビ系、2022年)、NHK連続テレビ小説 「ブギウギ」(2023~2024年)、連続ドラマ「つづ井さん」(読売テレビ、2024年)などに出演。
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