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映画「パディントン 消えた黄金郷の秘密」の日本語吹き替え版で声優を務めた吉田羊さん
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映画「パディントン 消えた黄金郷の秘密」の日本語吹き替え版で声優を務めた吉田羊さん

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吉田羊:昨年、英国に1カ月間の短期留学 すべて自身で手配「自信と度胸がついた」 パディントンとの縁も「必然だった」

 映画「パディントン 消えた黄金郷の秘密」(ドゥーガル・ウィルソン監督)の日本語吹替版で声優を務めた俳優の吉田羊さん。演じたのは、シリーズ初登場のキャラクターとなる“老グマホーム”の院長でシスターのクラリッサで、劇中では歌声も披露している。“英国紳士”のくまのパディトンとは「縁を感じる」という吉田さんが、その理由や歌声の収録秘話を語った。また、何事にも飛び込んでいく冒険心を持った吉田さんから女性へ向けてのメッセージも聞いた。

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 ◇演じたのは怪しいシスター 10秒間のロングトーン歌唱秘話も

 演じたシスターについて、吉田さんは「ちょっと怪しいキャラクターです」と紹介する。

 「一見親切で、パディントンとブラウン一家に寄り添う優しさを見せつつも、ちょっとした仕草や言葉尻になにやら裏がありそうで。ところが、どうやって怪しさをにじませようかしらと思って収録に臨んだんですが、(演じている)オリヴィア・コールマンさんのお芝居を見たら、終始朗らかで明るくて、ずっとニコニコしてるんです。でも、むしろそれが逆に怖いというか。なので、笑顔の奥にある彼女の企みや、本性を垣間見せつつというあんばいを、演出の方から細やかにディレクションしていただきながら作っていきました」

 映画の導入部分では、3分ほどにわたって歌声も披露している。ラストに10秒間のロングトーンがある難しい歌だ。

 「収録自体は3時間ぐらいで録(と)りました。オーラス(一番最後)のロングトーンはできるだけ一声で歌いたいと思って、夜な夜な自宅で声を張り上げて練習し、臨ませていただきました(笑)。ミュージカルさながらの歌ですし、実際にせりふの合間にあの歌が入ってくるので、歌単体というよりも、せりふを語るように歌うというのを意識して、実際にお芝居をする気持ちで歌わせていただきました。ハイトーン(高い音)が多かったり、言葉数も多かったり、最後にロングトーンがあったりと、かなり難易度の高い歌ではありますけれども、とても耳に残りやすい歌なので、皆さんに覚えていただいて、一緒に歌っていただけたらうれしいです」

 吉田さん自身、普段は落ち着いたトーンの声だが、「讃美歌を歌って育ったので」と歌では高い裏声の方が出しやすいと語る。

 ◇もともと冒険好き「パディントン派です(笑)」

 昨年、英国に短期留学した。目的は「この先、海外のお仕事をいただけるチャンスがあるとしたならば、その時は現場で監督さんやスタッフさんと最低限のコミュニケーションを英語で取れるようになりたいなという思いをずっと持っていた」と明かす。

 昨年、たまたま1カ月スケジュールが空き、「行っちゃえ!」と実施に踏み切ったという。

 「初のイギリスで、大好きになって帰ってきました。エージェント探しから、チケットを取るのも自分やって。どういうレッスンを受けるかというカリキュラムや先生選びも全部自分で手配したんです。そんな煩わしいことを全部自分でやったことが、少なからず自信になりましたし、何より向こうでつたないながらも英語で話そうとする訓練を1カ月積んで度胸がつきました。こちとら母国語じゃないんだよっていう開き直りというか。そこが突破できたらもう怖いものはないなと。そういう気持ちになって帰って来られたことが一番の収穫だったかな」

 自信と度胸をつけて帰国した吉田さん。英国留学は「こうやってパディントンのお話をいただいてみると、ステイ先にイギリスを選んだというのは本当に必然的なものを感じます」と奇縁を感じたという。

 50代で留学するなど、一歩踏みだすのは勇気がいっただろうと思いきや、「もともと冒険好きですね。パディントン派です(笑)」とアドベンチャー映画の今作にかけて自身を表現する。

 映画でのパディントンも「この作品でさらに強くなったというか。それが、自分のためだけではなくて、愛する者のために戦うという強さを手に入れたなと思いますね」としみじみ語る。新作では冒険シーンの見どころも多い。

 「クライマックスの『インディ・ジョーンズ』ばりの手に汗握る大冒険、大アクションはもう命の危険を心配するようなシーンで、助かるとは分かっていてもハラハラドキドキしましたね。そういうスリルを楽しんでいただきたいです」とアピールする。

 ◇10年後も俳優?「心に余裕を持ってやれてるといいな」

 そんな吉田さんが今、一番リラックスするのは「映画を見ている時間」だという。

 「部屋で見たり、映画館でも見ます」といい、「韓国映画が好きで。暗めのクライムサスペンスが多いんですけれど、ポン・ジュノ監督の作品が好きなんです。ちょっとまだ新作の『ミッキー17』(2025年2月7日公開)が見られてないんですね。見たいと思いながら、ずっとタイミングを逃して、じりじりとしております」

 俳優の仕事は一生続けたいかと尋ねると、「決めているわけではないんです。ただ、演じることが楽しくなくなったり、準備することが面倒くさいと思うようになったらやめようと思っていて。今のところ役をいただけるのもありがたく、うれしいですし、演じる楽しさも感じているので、もうしばらくは続けてみようかなと思います」といい、10年後は、「ギリギリまだ女優続けているかな、続けていてほしいな。でもまあ、ペースは落として、ゆったり心に余裕を持ってやれてるといいなと思います」と語った。

 最後に、女性が社会を生き抜くためのメッセージを求めた。

 「私自身、いろんな方に節目節目で必要な言葉を与えていただき、ご縁をつないでいただいて、ここまで連れてきてもらいました。だから節目節目で出会う人、出会う言葉を大事にしてください。そして、どんな選択をしても、その選択を他人任せにせず、自分で判断をすることを大事にしてください。それさえ大事にしていれば、たとえ結果的に回り道になったとしても納得はできるし、その回り道も視点を変えれば、もしかしたら必要な道のりだったかもしれないと思える。そのためには自分で考えて判断をすることが大きな鍵になってくるのではないかと思いますので、出会いを大切にしつつ、自分の直感、感覚を信じて、進んでいただきたいなと思います」と力強く語った。

 映画「パディントン」シリーズは40カ国語以上で翻訳され、世界で3500万部以上を売り上げるロングセラー児童小説が原作。1作目が2016年、2作目が2018年に公開された。シリーズ3作目となる今作は、赤い帽子とダッフルコートがトレードマークの“英国紳士”のパディントンが、「老グマホーム」で暮らすルーシーおばさんを訪ねてペルーへ家族旅行に出かけ、ジャングルの奥地で冒険を繰り広げる。

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