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女優として活躍するジュリー・デルピーさんが監督、脚本、主演の3役をこなし、さらに音楽も手掛け、マルチな才能ぶりを発揮している「ニューヨーク、恋人たちの2日間」が27日に公開される。このタイトル、どこかで聞いたことがあると思った方はご明察。これは、日本では2008年に公開された「パリ、恋人たちの2日間」の続編だ。米国人の恋人と別れ、彼との間にできた息子を引き取り、今はニューヨークに住んでいるフランス人写真家のマリオン(デルピーさん)。彼女は今、ラジオDJのバツ2のミンガス(クリス・ロックさん)と彼の娘と暮らしている。国籍も人種も違うが、家族の仲はうまくいっている。ところが、マリオンの個展を見るために、彼女の父親と妹とその恋人がパリからやって来たことで、マリオンたちの生活に波風が立ち始める……。
もともとセックスや人種問題に関してオープンなマリオン一家。ここニューヨークに場所を変えてもそれは健在だ。マリオンの父親が放つ毒舌はそれこそ目が点になるほどで、彼に対する免疫がないミンガスはびっくり仰天。さらに好き勝手し放題の妹とその恋人(しかも彼はマリオンの元恋人だから面倒くさい)、彼らの間にはさまれオロオロしまくるマリオン。そんなしっちゃかめっちゃかになる中で展開する物語は、たった2日間の出来事ながら、かなりディープだ。
登場から笑わせてくれるのは、前作からややお年をめしながらも元気いっぱいのマリオンのパパ。演じるのはデルピーさんの実父アルベール・デルピーさん。でっぷりした体で家の中を歩きまわる様子は、見苦しいながらも愛敬があり、路上駐車に下す鉄ついも健在。また、アレクシア・ランドーさんが演じるマリオンの妹、ローズの奔放な振る舞いも笑える。とりわけヨガ教室でのタンクトップ姿で胸をあらわに体操にいそしみ、なんの恥じらいも見せない彼女と、あたふたするマリオンの対比には大笑いしてしまった。もしかしてこれって続編あり?と思わせるラストまで、カルチャーギャップの上に成り立つ人間関係を面白おかしく描きだす。ときにそれは辛らつな言葉で表現されるが、そのあっけらかんとした語り口には共感できる部分が多く、もっぱらうなずいてばかりいた。27日からヒューマントラストシネマ有楽町(東京都千代田区)ほか全国で順次公開。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)
<プロフィル>
りん・たいこ=教育雑誌の編集、編集プロダクションをへてフリーのライターに。映画にまつわる仕事を中心に活動中。大好きな映画はいまだに「ビッグ・ウェンズデー」(78年)と「恋におちて」(84年)。