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日本では1958年から6年にわたって放送された米テレビシリーズを、「パイレーツ・オブ・カリビアン」主演のジョニー・デップさん、製作のジェリー・ブラッカイマーさん、ゴア・バービンスキー監督のチームが映画化した娯楽大作「ローン・レンジャー」が2日、公開される。主人公のローン・レンジャーにふんするのは、「ソーシャル・ネットワーク」(2010年)や「J.エドガー」(11年)で知られるアーミー・ハマーさん。そのほかに、ヘレナ・ボナム・カーターさん、トム・ウィルキンソンさんらが出演している。
米西部開拓時代。家族を殺され、自身も瀕死(ひんし)のところを悪霊ハンター、トント(デップさん)の力によってよみがえった検事ジョン・リード(ハマーさん)。マスクで顔を隠し、白馬のシルバーを従え、“ローン・レンジャー”として生まれ変わった彼は、トントとともに巨悪に立ち向かっていく。
プロデューサーと監督が「パイレーツ・オブ・カリビアン」3部作と同じということで、目いっぱいド派手に作られたアトラクションムービーを予想していたが、これが案外ちゃんとした西部劇だった。そういえばバービンスキー監督の前作「ランゴ」も西部劇だったっけ……。そうはいっても暴走する列車を使ってのアクションや、砂漠で繰り広げられる追跡など見せ場はたっぷり。相当製作費をかけたことは明白で、19世紀の米国の機関車と8キロの線路をわざわざ作り、列車同士のチェイスシーンを撮影したというから恐れ入る。あんまりすごくて“おなかいっぱい”と感じる面もあるが、それこそがハリウッドメジャーならではの醍醐味(だいごみ)。もっというと、“ブラッカイマーらしさ”が存分に味わえる作品なのだ。ちなみに、列車が脱線し、主役の2人に迫ってくるシーンも、リアルなセットで撮影されたのだとか。
その一方で内容は、殺された家族のあだ討ちや、白人と先住民族の対立など結構深刻だ。空気が和むのは、トントが時折見せるおちゃめな表情のお陰。演じるデップさんは、乾燥してカピカピになった白塗りメークの、目だけをキョロキョロさせたどこか愛敬があるキャラクターを好演し、“チャーミングなジョニデ”を一層印象付けている。2日から丸の内ピカデリー(東京都千代田区)ほか全国で公開。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)
<プロフィル>
りん・たいこ=教育雑誌の制作会社、編集プロダクションをへてフリーのライターに。映画にまつわる仕事を中心に活動中。大好きな映画はいまだに「ビッグ・ウェンズデー」(78年)と「恋におちて」(84年)。