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映画「64-ロクヨン-前編」について語った坂口健太郎さん
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映画「64-ロクヨン-前編」について語った坂口健太郎さん

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坂口健太郎:話題作に立て続けに出演する注目“塩顔男子”の役作りとは 映画「64-ロクヨン-」出演

 横山秀夫さんの小説を基に実写化した映画「64-ロクヨン-」(瀬々敬久監督)の前編が7日に公開された。時効間近となった昭和64(1989)年1月に起きた通称“ロクヨン”と呼ばれる事件を模倣した事件が平成14(2002)年に発生。俳優の佐藤浩市さん演じる県警警務部の広報官・三上らが事件解決に奔走する姿を、警察内部の対立や県警記者クラブとの衝突などを織り交ぜ、前後編で描いている。記者クラブに常駐する記者・手嶋を演じる坂口健太郎さんに、共演者や役作り、話題作に立て続けに出演している現在の心境を聞いた。

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 ◇佐藤浩市の迫真演技に「熱量がすごかった」

 主演の佐藤さんをはじめ、永瀬正敏さんや三浦友和さんなど豪華なキャストがそろう今作に出演し、坂口さんは「やっぱり熱量がすごかった」と振り返り、「僕は少し出させていただいただけなのですが、やっぱり浩市さんはすごいなと思いました。浩市さんが(撮影を振り返って)『身を削って……』とおっしゃっていましたが、三上をやりきるというのはボロボロになっちゃうだろうなと」と佐藤さんの渾身(こんしん)の演技に敬意を表す。

 坂口さんが演じる手嶋は、県警内にある記者クラブに勤める新聞記者で、事件の対応を巡って警察の広報と衝突する。「僕は記者クラブの一人として、(佐藤さんと)一緒にお芝居をやらせていただきましたが、事件の実名報道について抗議しに行ったりする中で、僕(が演じる手嶋)はどちらかというと圧をかける側」と切り出し、「三上に実名を出せと言っているのですが、お芝居をしているときに、いい意味でその空気感にまひしていた感じはありました」と佐藤さんの迫真の演技に引っ張られ、熱のこもった演技になったと語る。

 白熱の演技合戦が繰り広げられた今作を、「とても素晴らしく、しっかりとした熱量を受け取りましたし、まれに見る大作だなと思いました」と坂口さんは充実感をにじませる。

 ◇役作りは「記者という枠にとらわれずやった」

 手嶋を演じる際、「圧を受けているシーンはありませんが、手嶋は(記者クラブ東洋新聞キャップの)秋川(瑛太さん)からの圧を受けているだろうし、広報は情報を出してくれないという状況で、手嶋の中のバランス感みたいなものは意識した」と坂口さんは話すも、「手嶋としてではなく坂口(自身)として考えたときに、広報が実名を伏せなきゃいけないという気持ちもすごく分かる。それは間違っていることではないと思ったので」と客観的に分析する。

 一方で、「手嶋からすると、『なぜ出さない』『広報は何か隠している』と感じるし、新聞記者として伝えるべきものが止められてしまっている悔しさもあると思う」と手嶋の心情に理解を示し、「(記者クラブと広報の)両方とも立場が違うけれども、正義の中で動いていると思う」と自身の見解を口にする。

 そして、「最初は新聞記者の手嶋というより、職業を問わず、圧をかけてくる先輩がいて、思い通りにならない相手がいてということを重視し、記者という枠の中ではあまり考えないようにしてやった」と振り返り、「そのあと徐々に新聞記者だったり、秋川という先輩の性格だったりに合わせていった」と役作りのプロセスを明かす。

 手嶋の上司・秋川を演じる瑛太さんについて、「すごく自由な人」と坂口さん。その理由を、「自由人という意味ではなくて、お芝居が自由ということ」と説明し、「一緒のシーンでは相手のせりふも台本を読んで、なんとなく想像しますが、瑛太さんの秋川は動きだったりせりふの言い回しが変幻自在で、お芝居を“遊んでいる”感じがした」と驚く。

 続けて、「手嶋からすると秋川はちょっと怖い存在ですが、(瑛太さん自身は)撮影が終わったらご飯に連れて行ってくれたり、ちょっとおこがましいですが、お兄ちゃんのような、という感じはしました」と笑顔を見せる。

 ◇理想の女性像は?

 昨年は多くの話題作に出演し、今年も出演作が目白押しの坂口さん。「街中で声をかけていただく機会や、『作品を見たよ』というお声をいただくことは増えました」と話すも、「ちょっと前に一人暮らしを始めたぐらいで、特に何も変わっていないかな(笑い)」とプライベートではあまり変化はないという。

 仕事面では「ちょっと前は『こうやってほしい』と言われたら、こうやらなきゃいけないという(枠にはまった)考えになっていました」と以前の自身を振り返り、「今はいい意味で、もうちょっと自分の個性ではないけど、“遊び”を入れてもいいと、少し思えるようになってきた」と取り組み方の変化を分析する。

 そんな坂口さんに理想の女性像は、「喜怒哀楽をちゃんと出す人」といい、「喜と楽は出しやすいと思うのですが、悲しむこととか怒ることというのは僕は全然悪いことではないと思うから、そういうのをちゃんと出してくれる人がいい」と持論を語る。

 今後チャレンジしてみたい役として、「あまり定めてはいないのですが、例えば『こういう役があって坂口くんにぴったり』とおっしゃっていただけるのはもちろんありがたいです」と前置きし、「例えば優しそうで柔らかくてふわっとしていてるイメージとか、言われること自体は嫌ではないですが、逆に『坂口健太郎のイメージじゃない』と思われる役をやってみたい」と目を輝かせる。

 俳優業を続けていく中で、坂口さんは「普通にしていようというのはずっと思っている」と自身の心構えを明かし、「お芝居では無理をしたいですが、坂口健太郎としている間は気張っていたくもないし、かといって悩みすぎるタイプではないから、無理に悩むのも自分らしくないので、普通にしていたい」と理由を説明する。そして、「記者クラブの中でも(手嶋は)一番若手なので、僕と同世代の人たちが映画を見て、職種は違っても(手嶋と)似たような境遇に共感してもらえたら」とメッセージを送った。映画は前後編で、前編が公開中、後編は6月11日に公開。

 <プロフィル>

 1991年7月11日生まれ、東京都出身。男性ファッション誌「MEN’S NON-NO」専属モデルとして人気を集め、2014年公開の「シャンティ デイズ 365日、幸せな呼吸」で俳優デビュー。15年には「娚(おとこ)の一生」「予告犯」「海街diary」「at Home」「ヒロイン失格」「俺物語!!」と話題作に多数出演。おおさかシネマフェスティバル2016では新人男優賞を受賞した。16年には出演した「高台家の人々」「オケ老人!」などが公開されるほか、10月には舞台「かもめ」の出演を控える。

 (インタビュー・文・撮影:遠藤政樹)

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