劇場版アニメ「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」の声を担当した広瀬すずさん
女優の広瀬すずさんが、公開中の劇場版アニメ「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」(新房昭之総監督、武内宣之監督)でヒロインのなずなの声を担当した。広瀬さんが演じる中学1年生のなずなは、俳優の菅田将暉さんが声を担当したクラスメートの典道を「かけおち」に誘う、大人っぽい女の子という役柄。広瀬さんに今作のように「もしあのときに戻れたら?」や休日の過ごし方、気になるファッションアイテムなどについて聞いた。
◇90年代伝説のドラマをアニメ化
「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」は1993年に放送され、95年に劇場公開もされた岩井俊二監督の名作ドラマが原作。アニメ化にあたっては、映画「バクマン。」(2015年)などの大根仁さんが脚本を手がけ、アニメ「化物語」「魔法少女まどか☆マギカ」などで知られる新房昭之さんが総監督を務めた。とある海辺の町で、中学校のクラスメートたちは花火大会を前に「打ち上げ花火は横から見たら丸いのか?」と盛り上がっている中、クラスのアイドル、なずなは母親の再婚のため転校することになった。なずなに思いを寄せる典道は、なずなから「かけおち」に誘われ、時間が巻き戻る不思議な体験をする……というストーリー。典道の親友の祐介を声優の宮野真守さん、なずなの母を女優の松たか子さんが演じている。
◇同世代の女優・俳優を尊敬
広瀬さんは今年、主演映画「チア☆ダン~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~」(河合勇人監督)が公開され、今作に続いて、今後も9月9日には「三度目の殺人」(是枝裕和監督)、10月28日には「先生!」(三木孝浩監督)が公開されるなど出演作が目白押しだ。引っ張りだこの状況を自身ではどう感じているのか。「引っ張りだこかどうか分からないんですけれど、昨年から、半年間は映画を撮って、半年間は公開とプロモーションというスケジュールなんです。昨年10月から今年の6月終わりごろまではずっと映画を撮っていて、その後、撮った映画たちがどんどん公開していくという、そのサイクルはすごく早く感じますけれど濃厚な時間がずっと流れているなと思います」と忙しい中にもペースができつつあるという。
広瀬さんと同世代の女優・俳優たちが次々に作品に出演するなど活躍中だが、「同世代の人の話を聞いていると、本当に忙しそうだから、私も負けていられないなと思って。『こんなので大変だって言っている場合じゃない!』と。本当に同世代の女優さん、俳優さんを尊敬します」と力強く語る。そして「私もこれからも映画にも出たいし、ドラマにも出たい。いろんなお芝居ができるようになりたくて。公開されたり、公開待機している作品があるということは、その作品に出合えたということで、それはありがたいことだなと思います」と貪欲に語る。
◇もしも、あのときに戻れたら…
劇中、タイムリープするシーンがあるが、今、広瀬さんが「もしも、あのときに戻れたら?」と思うのはいつかと尋ねると、「この仕事を始めるところかな(笑い)。断り切れなかったというのが最初は大きかったので。今まで自分の道を自分で決めたことがなくて。バスケを始めたのも、人数合わせでお母さんに言われて断れなくて8年も続けていたというのがあって(笑い)。だからバスケを始める小2のところからかな(笑い)。そこから自分で決めたことがないなと思って……」と後悔を口にする。
「いまだに小さいことでも自分がこれがいいと思っても勇気がなくて言えずに流れに流され、すべて身を任せている感じがあって。そのことで多分、自分一人では経験できないことも経験する機会は増えたんですけれど、それでいいのかなとも思うし。どこかで自分が嫌だと止める力がないと、ずっと川に流されていく……」と今年、高校を卒業して自身で人生の決断をする時期にさしかかっていることを感じさせる。
◇花火と夏祭りの思い出
今作では花火や夏祭りが出てくるが、広瀬さん自身の夏の思い出は? 「花火は今年もうやりました、朝に(笑い)。地元に帰るといつも、親友の家の庭で花火をやるんです。前回も花火をやったときは朝で。なんかいつも明るいうちにやっちゃうので、(花火が)よく見えないんです(笑い)。でも、それが毎回恒例になってきて」と意外なエピソードを明かす。
夏祭りは「地元のお祭りは5、6年行ってないんですけれど。中学生のころ、地元で七夕祭りがあって、それには必ず行っていて。4日間くらいあるんですけれど、毎日行くというのが“地元あるある”みたいな感じで、毎日メンバーを変えて行くんです」という。その際の服装は「七夕に制服で行くのが、地元でおしゃれみたいなところがあって。だから制服で行ったりしていました。いい思い出です」と振り返った。
◇長い休みがあったら「地元に帰る」
広瀬さんは休日があると「家からあまり出ないですね。ジムに行くだけです。あと洋服をたまに見に行ったり」とゆったり過ごす。長い休みがあったら「地元(静岡)に帰ります。(帰ったら)何もしたくない(笑い)。地元で生活をするというのが一番リフレッシュするというか、心が癒やされますね。15、16年生きてきた町でもあるので、身近だし、心地いい。東京とは空気も人も違うし」と疲れを癒やすという。
今、一番気になるファッションアイテムは「もともとパンツが大好きで、靴とかバッグにはあまり興味がなかったんですけれど、最近は靴やサンダルが大好きになって、いっぱい見たりしています」と明かす。
最近のお気に入りのアイテムは「久々に買った黒の厚底のサンダル」。持っているファッションアイテムの色味は「ほぼ黒ですね。(仕事で着る)衣装が明るかったりすると、自然とプライベートでは明るい色を着なくなるというか。もともと明るい色よりもトーンが低い方が好きなので。私服は黒が多いですね」という。
◇女性が輝く秘訣は「食べること」
最後に、女性が輝き続ける秘訣(ひけつ)は何だと思うかを聞くと、「食べることかな(笑い)。おいしいものを食べる。結局、ご飯が一番楽しみというか、癒やされるし、幸せを感じるから。あとは好きなもの、人とかに囲まれるというのはそれ以上特に望むものはないだろうなというくらい幸せ。大好きな人たちとおいしいものを食べたりしている時間が一番人は幸せを感じるんじゃないかなと思いますね」と笑顔で語った。
<プロフィル>
ひろせ・すず 1998年6月19日生まれ、静岡県出身。2012年、雑誌「Seventeen」の“ミスセブンティーン”に選ばれ、専属モデルに。13年に「幽かな彼女」(フジテレビ系)で女優デビュー。映画「海街diary」(15年)で、第39回日本アカデミー賞新人俳優賞ほか数々の賞を受賞。主な出演作に「ちはやふる-上の句・下の句-」「四月は君の嘘」「怒り」(すべて16年)、「チア☆ダン~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~」(17年)など。今後、「三度目の殺人」が9月9日、「先生!」が10月28日に公開予定。劇場版アニメの声の出演は、15年の「バケモノの子」に続いて2度目。