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ロンドン劇場めぐり:特別編 教会で東日本大震災のチャリティーコンサート

 ロンドンの音楽大学でクラシックピアノを学ぶKYOKA(きょうか)さん=仮名=が、現地で見つけた劇場やコンサートホールの話題、その近辺のマーケットやカフェ情報をつづる「ロンドン劇場めぐり」(2016年に連載終了)。今回は特別編として、ロンドンで行う東日本大震災のチャリティーコンサートについてつづります。

 ◇私たちにできること

 16年の連載当時は、渡英したばかり。ロンドンにある劇場や教会に、時間があれば足を運んでコンサートを観客として見に行っていました。あれから2年、現在はピアニストとして、教会や劇場でお客様に音楽を届ける機会が多くなりました。そして、この度、東日本大震災のチャリティーコンサートを主催することになりました。

 東日本大震災から7年。いまだに家に帰れず、家族を亡くし、今もなお心を痛めている人々がたくさんいらっしゃいます。私は7年前、中学生でした。当時は何が起こっているのか分からず、ただただ恐怖だったのを今でも鮮明に覚えています。

 「このことを風化させてはならない」「いまだ苦しむ方のために少しでも力になりたい」と、ロンドンにいても被災者の方々を思う気持ちは変わりません。私たちができることはわずかだけれど、何かできることはないかと考え、ロンドンで音楽を学ぶ若者が集まり、この思いを伝え、わずかでも力になりたいという思いで、18日にロンドン・パディントンの「セント・ジェームズ教会 サセックス・ガーデン」で開催します。

 ロンドンの教会でのコンサートはとてもアットホームな雰囲気の中、演奏を聴くことができます。私たちは、このコンサートを通して世界中の人に、東日本大震災のこと、そしていまだ助けを必要としている人がいるということを伝えていきたいと思っています。

 かのベートーベンはこう語りました。音楽で病気を治すことも、戦争を止めることもできないが、音楽は人々の心を癒やす力、人と人を結ぶ力、さまざまな力を持っている、と。日々練り上げてきた音が、その日その瞬間だけ、その場に居合わせた皆様との調和によって特別に奏でられる音色、二度と同じ融合や感情が起こらない空間、それがコンサートです。

 今回のコンサートでは、東日本大震災のために作られた「花は咲く」や「ふるさと」の合唱、そしてイギリス人作曲家Callum Stephensによる茶道を題材としたピアノ曲「花咲み」などの日本にまつわる曲をはじめ、ギター、バイオリンなど曲のジャンルを超え、楽器の種類も多く織り込んだプログラムになっています。収益はすべて英国日本大使館を通して、日本赤十字社東日本大震災義援金に寄付いたします。

 私たちは、音楽を通して東北の方々の力に、少しでもなれればと思っています。

 <プロフィル>

 KYOKA。1996年生まれ。子供の頃から音楽が大好きで、幼少期からクラシックピアノを学ぶ。高校時代に、ロンドンへ語学留学した際、ロンドンの音楽あふれる街に魅了され音楽留学を決意。現在、ロンドンの音楽大学「Trinity Laban Conservatoire of Music and Dance」に在学している。2016年に「毎日キレイ」でコラム「ロンドン劇場めぐり」を連載。今回のチャリティーコンサートではウェブサイトからも寄付を募っている。

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