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女優の松岡茉優さんが主演を務める映画「蜜蜂と遠雷」(石川慶監督)が10月4日に公開される。今作で松岡さんは、“天才少女”とうたわれながら、母の死をきっかけに表舞台から消えていたピアニスト、栄伝亜夜(えいでん・あや)を演じる。映画では、セーターにスカートといった素朴なものから、レースをあしらった黒のゴージャスなドレスまでを着こなしていた松岡さんに、最近気になっているファッションアイテムや、演じた亜夜に対する印象、また、「1年の中ですごく落ち込む日」について聞いた。
◇気になるファッションアイテムは…
この日、白いブラウスに黒いジャンパースカート、ピンヒールの黒パンプスで、インタビューの部屋に現れた松岡さん。大人の雰囲気がほのかに漂うフェミニンな装いが、松岡さんの愛らしさを引き立てている。
翌日着る服は、前日、寝る前に決めているという松岡さん。ただ、服装には「あまりこだわらない」という。というのも、仕事の現場に行くとスタイリストが用意した衣装に着替えてしまうからだ。「ですから、パジャマのままで行くこともあります(笑い)」と打ち明ける。
そんな松岡さんが、最近、気になっているファッションアイテムに挙げたのは、「ジャケット」。「授賞式に出席するときなど、ちょっとかしこまらないといけないときに、さっと羽織るだけできちんと見えますよね。色はベージュ系。素材は柔らかめのものがいいですね。Tシャツやワンピースの上にも着たいから、ちょっと大きめがいいかな」と思いを巡らせる。
◇愛用の品は…
松岡さんは亜夜に対して、「水族館の水槽の分厚いガラスを常に身にまとって暮らしているイメージ」を抱いていたという。その亜夜は、幼いころから20歳になった今でも、同じ水筒を愛用している。それは、母の思い出が染みついたもので、いわばお守り代わりだ。そこで松岡さんにも、長年愛用している品を挙げてもらうと、少し考えてから、「母が学生時代に使っていたパスケースです。たぶん、もとはきれいなグリーンかカーキだったと思うんですが、革がくたくたになって、今は群青色みたいになっています(笑い)。母が大事にしていたものですし、触ると気持ちいいので、ふとしたときに触っちゃいます」と語った。
普段から、「演じる役の魂はどこかにあるはず」と考える松岡さんにとって、演じる役は、「作品の中で一番自分と距離が近い存在」で、「心の中で、『このシーン、すごかったね』『本当、そうだね』と、唯一言い合える」同志だという。そのため、演じるときにはいつも、「彼女が嫌じゃないことをしたい」と心掛けている。今回も道に迷うと、「栄伝さん、すいません。このシーン、どうしたらいいんですか」と心の中で対話しながら演じていたそうだ。
◇不安は徒労に終わった
そんな松岡さんには、「1年の中ですごく落ち込む日がある」という。それは、自分が出演した映画を初めて見る日。なぜなら、自分の演技に対して、「10点満点中1、2点」しかつけられないからだ。
案の定、今回の作品も試写の前日は「眠れないくらい不安でしょうがなかった」という。しかし、ふたを開けてみると、「石川監督は撮影に入る前、疾走感のある、アグレッシブなアプローチがしたいとおっしゃっていたのですが、出来上がった映画はまさにその通りになっていました。演奏シーンも手に汗握る、ちょっとバトルアクションのようにも見られる映像になっていました」と石川監督の手腕をたたえつつ、「ひいき目だと思いますが、もしかしたらこれは、原作ファンの方にも納得してもらえるかもしれないと思いました」と不安が徒労に終わったことに胸をなで下ろしていた。
「蜜蜂と遠雷」は、直木賞と本屋大賞をW受賞するという史上初の快挙を果たした恩田陸さんの同名小説が原作。国際ピアノコンクールに集まった4人の若き天才ピアニストたちの戦いと成長を描いていく。母の死をきっかけに表舞台から姿を消していたが、再起をかけコンクールに挑む元神童・栄伝亜夜(松岡茉優さん)。年齢制限ギリギリで出場するサラリーマン奏者の高島明石(松坂桃李さん)。名門ジュリアード音楽院に在籍する人気と実力を兼ね備えたマサル・カルロス・レヴィ・アナトール(森崎ウィンさん)。そして、今は亡き“ピアノの神”が遺(のこ)した異端児、風間塵(鈴鹿央士さん)。4人それぞれの戦いが描かれる。
次回は、「蜜蜂と遠雷」での役作りや、女優の仕事について聞く。
<プロフィル>
まつおか・まゆ 1995年2月16日生まれ、東京都出身。2008年、子供番組「おはスタ」(テレビ東京系)でおはガールとして本格デビュー。近年の映画出演作に「ちはやふる」3部作(2016年、2018年)、「勝手にふるえてろ」(2017年)、「blank13」「万引き家族」(共に2018年)など。待機作に「ひとよ」(11月8日公開)がある。