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上白石萌音:「恋つづ」七瀬は“声”を大切に… “山椒”のような女優に 

 女優の上白石萌音さんと俳優の佐藤健さんが出演するドラマ「恋はつづくよどこまでも」(TBS系、火曜午後10時)が、3月17日の放送でいよいよ最終回を迎える。初回放送後から、佐藤さん演じる“ドS”ドクター・天堂浬(かいり)に胸キュンする視聴者が続出する一方で、上白石さんについても「上白石萌音ちゃんのお陰でより一層キュンキュンが止まらない」「萌音ちゃん可愛い」などの声が上がっている。七瀬を演じるにあたり「声」を大切にしたという上白石さんに撮影の裏側や、女優としての転機を聞いた。

 ◇七瀬を演じるにあたり苦労も…

 ドラマは、円城寺マキさんの同名マンガ(小学館)が原作。偶然起きた出来事で運命の男性となる医師と出会って恋をした七瀬は、彼に会いたい一心で猛勉強し、晴れてナースに。念願かなって5年越しに再会した天堂は、毒舌ばかり吐く超ドSなドクターで通称「魔王」と呼ばれていた……。天堂に素直な思いを伝え続け、くじけず突き進む「勇者」の七瀬と、「魔王」天堂の恋模様をユニークに描く医療現場が舞台のラブストーリー。

 この日、ドラマの撮影の合間に取材に応じた上白石さんは、記者に対して「ご足労いただき、ありがとうございます。よろしくお願いいたします」と自らあいさつ。一つ一つの質問に対して、丁寧に言葉をつむぐ姿勢が印象的だった。

 ドラマを手がける宮崎真佐子プロデューサーは、原作が少女マンガということで「ドジっ子とか、あまりやりすぎてしまうと『こんな子嫌だ』となってしまう可能性がある」と話していた。そんなリスクのある主人公に、上白石さんを起用した理由について、「上白石さんはとても品があるので、少女マンガの主人公を演じても、嫌みなく可愛くなる(と思った)」と説明していた。

 「本当にそこは案配で」と話した上白石さんは、「いくらでもドジにしようと思えばできるし、こんな子だめだな、っていうのは、どこまでもいけちゃうと思うんですよ。でもこの子には伸びしろがある、って思わせなきゃいけない」と微妙な役どころを語る。「わざとらしかったらすべて台なしなので、どこまでリアルな範囲内でそういうことできるのかっていうのは、すごく考えて、意識して、みなさんにも意見を仰ぎつつ……結構悩んでいました」と振り返る。

 たとえば、“転び方”ひとつでも、どう転べばいいのか、相当気をつけたといい、「(転ぶという)一歩の仕草をどこまで落とし込めるかというのは課題ではありました」と明かす。一方で、「七瀬の場合、すごく人に恵まれているので、そうなった(ミスをしてしまった)としてもフォローしてくる人が周りにいて。それは私もまったく一緒で、(共演者の)胸をお借りしてやろうという感じだった。最初の方は結構つらかったですが、成長してきました(笑い)」と笑顔を見せる。

 ◇女優、声優、歌手としての顔も

 上白石さんは、1998年1月27日生まれ。鹿児島県出身。身長152センチ。趣味は読書、音楽を聴くこと、歌うこと・踊ること。2011年、第7回「東宝シンデレラ」オーディションで審査員特別賞を受賞。同年、NHK大河ドラマ「江~姫たちの戦国~」でドラマデビューを果たす。2014年公開の映画「舞妓はレディ」(周防正行監督)ではオーディションで主役の座を勝ち取り、映画初主演。映画のほかにも、テレビドラマ、舞台に数多く出演。

 声優としても、劇場版アニメ「おおかみこどもの雨と雪」(細田守監督)や、劇場版アニメ「君の名は。」(新海誠監督)でヒロイン・三葉の声に抜てきされるなど活躍している。2016年には、歌手デビューも果たした。

 「声」での活躍も続く上白石さんに、七瀬を演じるにあたり、声を意識したかどうかを聞いてみると、「七瀬に関しても、声は変えたつもりで。今1話を見たら全然声が違うと思います」と明かす。そして、第1話の七瀬の声で「なんでもやります!」「好きです!」というせりふを実際に演じてくれた上白石さんは、「声よりも魂が先走っている感じが、トーンで出ないかなと。いろいろ探った結果があれ(第1話の声)で。ちょっとせわしないというか、『この子は大丈夫かな?』という感じ」と振り返る。

 仕事を覚え、天堂との恋愛を通して、七瀬にも変化が。「ちょっとずつ愛を知って、ちゃんと自分の中にいろんなものが収まってきた状態に。患者さんともちゃんと向き合えているときの声の使い方は、ちょっとだけ意識しています」と明かす。「音程とか息とかは、少し心の手助け(気持ちの表現)にもなる感じがするんです。それは声優業をやらせていただいて知ったことです」と続ける。

 上白石さんによると、声優業では、まず声色を探る時間があるのだという。たとえば、普通にせりふを読んだ場合、5歳年齢を上げた場合といった具合。中には、「色を明るくしてください」などと言われることも。「それって映像(作品)でも同じことだなと思って、そこからちょっとずつ意識はするようにしていますね。どこまで伝わるかわからないですけど、私の気分的なものですが、声はすごく大切にはしています」。

 ◇“スパイス”のような女優に

 弱冠22歳ながら、代表作とも呼べる作品にいくつも出合っている上白石さんにこれまでを振り返ってもらうと、「間違いなく言えるのは、『舞妓はレディ』という作品。あの作品がなかったら、今ここにはいないだろうなと思います」と、真っすぐな視線を記者に向けた上白石さん。

 「何者でもない15歳の私を、“すんっ”って周防監督が引き上げてくださって。あの現場で学んだことはいまだに反すうしていますし、あの時間がなかったら……。あの出会いは大きかったです。周防さんは本当に恩人です」としみじみと振り返る。周防監督からは「染まっていない、田舎っぽいのがよかった。そのままいってね」と言われたといい、「その自信はあるんですけど(笑い)。ふふふ」と可愛らしく笑う。

 周防監督とは当時、静岡でのキャンペーンに参加した際、一緒にウナギを食べに行ったという。「ウナギを食べながら、『萌音ちゃんは、山椒(さんしょう)のような女優さんになりなさい』って言われて。『その心は?』って聞いたんです(笑い)」と語り出す。

 「山椒は小粒でピリリと辛い、と言いますよね。私は体も大きくないし、派手でもない。だけど、『どこにいるかわからなくても、なんかいるなっていう、ちょっとした存在感を保てる人』『なくてもいいけど、あるといいよねっていう“スパイス”になれるような女優さんになれたらいいね』っておっしゃっていただいて……。だから私は山椒になりたいです(笑い)」とちゃめっ気たっぷりに話す。

 「でも、大きく見せようとか、派手になりたいとか、作品によっては必要ですけど、この体でできることってあるのかなと思っていて。あったらいいね、いたらいいな、っていう存在になれたらいいな。それってすごく難しいことだと思うんですけど、ずっと心に置いています」。そんな上白石さんの心持ちが、作品に欠かせないひと味を加えているのだ。

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