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長野・松本の奥座敷・浅間温泉に2020年に誕生した宿「松本十帖」は、「松本本箱」「小柳」というコンセプトが異なる二つのホテルを中心に構成されている。松本本箱は大人のためのブックホテル、小柳は三世代ファミリーで泊まれる宿とまったく違う。どちらも全客室温泉付きで各廊下にはお茶・アイスクリーム・お菓子・ドリンクのビュッフェ「お勝手バー」がある。
二つのホテルは、貞享3(1686)年創業の老舗温泉旅館の建物をリノベーションした。当時とはまったく違う趣だが、あちこちにその名残が見え隠れする。例えば、松本本箱にある1万冊の蔵書を誇るブックストアの、読書スペース「オトナ本箱」と「こども本箱」は以前の大浴場を生かして生まれ変わったものだ。
「松本本箱」と「小柳」の間にはすっきりとした白木造りの「小柳乃湯」という宿泊者専用の浴場がある。源泉は客室の湯と同じだが配湯方法が違うため、感触やにおいの強さが少し異なるのが面白い。余分な角質や皮脂をスッキリと落としてくれる泉質なので、筆者は湯上がりにスキンケアをした時、肌への“浸透”が違うように感じた。
食事は信濃川・千曲川流域の旬の食材を使って、その地域の「風土・文化・歴史」を表現した「ローカルガストロノミー」。松本本箱の夕食は、イノベーティブ・フュージョンレストラン「三六五+二(367)」でいただく。東京・飯田橋にあったレストラン「INUA(イヌア)」出身のクリストファー・ホートンさんがグランシェフを務めている。素材を生かした料理は和食を彷彿(ほうふつ)させる。小柳の夕食は、子供も楽しく食事できる信州イタリアン「ALPS TABLE(アルプステーブル)」で。朝食はどちらも「三六五+二」で、たっぷりの松本野菜と山菜のヘルシーな料理が食べられる。
どちらの宿の客室も広々としていて大きなデスクもあり、“おこもり”にも十分。ワーケーションにもぴったりだ。しかも無料の温泉街ツアーで浅間温泉の歴史や街並みを案内してくれるなど、宿以外での過ごし方も提案してくれる。
<プロフィル>
朝香。モデル・美肌温泉家。慶応大卒。温泉ソムリエアンバサダーなど数々の温泉資格を持ち、日本温泉気候物理医学会など多数の学会に所属。美容効果が期待できる温泉やその効能をより引き出す入浴法を広めようと日々活動している。自治体の観光PRの監修・アドバイザーなども務める。