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舞台「The View Upstairs‐君が見た、あの日‐」に出演する小関裕太さん
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舞台「The View Upstairs‐君が見た、あの日‐」に出演する小関裕太さん

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スポットライト~舞台で輝く男たち:小関裕太さん もどかしい1年を経て「26歳でやるべき作品」に挑む 話題のミュージカルに出演

 「ステージ」に情熱を注ぐ俳優に舞台の魅力を聞く新連載「スポットライト~舞台で輝く男たち」。第3回は小関裕太さんに話を聞きました。(編集・取材・文/NAOMI YUMIYAMA)

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 ドラマや映画、舞台で幅広く活躍中の小関さんが、2月1日から上演する舞台「The View Upstairs‐君が見た、あの日‐」に出演する。1973年にアメリカのゲイバーで実際に起こった放火事件を基に、オフブロードウェーで初演され、世界で話題を呼んだミュージカルだ。

 「プロットやストーリー、役柄や話の流れを読んで、メッセージやパワーがすごい作品だなと思ったんです。自分が変わるきっかけになりそうで、26歳というタイミングでやるべき作品として挑んでみたいと感じました」と、出演を即決した理由を語る。

 現代で生きるファッションデザイナーのウェス(平間壮一さん)が、1973年のニューオーリンズのゲイバーにタイムスリップしてしまうストーリー。小関さんは突然現れたウェスにひかれていく男娼を演じる。

 「僕が演じるパトリックは、いろんな人を魅了していくミステリアスで儚(はかな)い人。言葉の裏側に意味がたくさんありそうな、魅力的な役です。歌の方は“楽曲はすごくいいけど、かなり難しいから壁を乗り越えなきゃね”と、プロデューサーに言われて燃えました(笑い)。作者のマックス・ヴァーノンさんは日本好きで協力的な方なので、頑張っていい作品にしたいなと思います」

 1970年代、同性愛が罪だった時代に、“はみだしもの”たちが集まる場所だった「アップステアーズ・ラウンジ」。そこで実際に起こった放火事件の写真や資料を見ながら、小関さんは「泣きそうになった」と語る。

 「当時は警察に権力があって性的マイノリティーの人々を差別したり、金を巻き上げたりしていた。教会ですら『汚(けが)れるから入ってくるな』と言われた彼らにとって、唯一のよりどころで、祈りを捧(ささ)げられる場所がバーだったんです。そんな彼らがどんな気持ちでバーに行く階段を上ったのか。火災が起きた時、どんな状態だったのか……。調べながら自分だったらどうしただろうと考えて、心に刺さりました。そんなことも考えながら観てもらえればなと思います」

 ◇憧れは香川照之さん。見る人の「孤独」に寄り添える舞台に

 2022年の舞台は本作のほかに、「4月は君の嘘」にも出演予定。「ミュージカルが多い年になりそうです」と意欲的だが、去年は自分を見つめ直す年だったと振り返る。

 「もどかしさを感じた1年でした。最近テレビでよく見るね、と言っていただく機会も増えたのですが、自分への悩みと周りの評価のとの差に戸惑ったり。もっとすてきな日常の過ごし方があるのではと栄養学を勉強したり、絵を描いたり、いろんなことを試しました。うれしかったのは音楽番組を通して輪が広がったこと。あとSNSを再開して、多くの価値観に出会えたことです。視野が広がったからこそ時間があったらもっとこうするのに、と思ったのかもしれません」

 ストイックに自分を見つめつつ、好奇心を広げて成長を続ける小関さん。憧れの俳優を尋ねると、「香川照之さんです」とほほ笑んだ。

 「以前、『新しい王様』という作品でご一緒したのですが、めちゃくちゃかっこいいなと思いました。お芝居はもちろん、現場の作り方や会話の仕方が、もう人間を超えているというか……(笑い)。撮影初日から全員の名前を認識して、セリフが直前に変わっても一瞬で対応される。こんな人になれたらすてきだなと思いましたね」

 最後に、「The View Upstaires-君が見た、あの日-」を通して小関さんが伝えたい思いを聞いた。

 「最初のころは“多様性”だと感じていました。でも今はこの言葉が何にでも便利に使われるようになって、違う気がして。それで別の言葉を探したとき、“孤独”だなと思ったんです。登場人物それぞれがネガティブさと孤独な部分をもっている作品。キャッチーな楽曲と共に、見る人のそんな気持ちにも寄り添える舞台にしたいと思います」

 ◇小関さんに一問一答

 ――私生活で役に影響される方?されない方?

 「最近は影響されなくなりました」

 ――舞台中、絶対食べるものは

 「体のために、朝一番にしょうがのスープを飲みます」

 ――楽屋に置いているお気に入りグッズは

 「公演ごとに、違う置物を置いています。マトリョーシカとか木彫りの熊とか(笑い)。楽屋を自分の部屋のようにしたいので、舞台の気分を置物で作っている気がします」

 ――最近、体のためにしている事は

 「根菜を食べること。意識的に肉より魚を選ぶ。料理にもチャレンジしています」

 ――今後、舞台で演じてみたい役は

 「ギタリスト。もともとギターは弾きますが、“役”になると入るスイッチがあるので、役作りでもっとギターに向き合いたい」

 ◇プロフィル

 こせき・ゆうた 1995年6月8日生まれ。東京都出身。子役として俳優活動をスタート。NHK連続テレビ小説「半分、青い。」で注目される。近年は、映画「ライアー×ライアー」、ドラマ「来世ではちゃんとします2」など幅広く出演している。

 *……ミュージカル「The View Upstairs‐君が見た、あの日‐」▽演出・翻訳・訳詞・振付:市川洋二郎▽出演:平間壮一、小関裕太ほか▽上演:2月1~13日に東京・新宿の日本青年館ホール、2月24~27日に大阪・森ノ宮の森ノ宮ピロティホール▽公式サイト:https://theviewupstairs.jp

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