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俳優の桜庭ななみさんが出演する映画「傲慢(ごうまん)と善良」(萩原健太郎監督)が公開された。マッチングアプリを通じて出会った西澤架(かける)と坂庭真実が婚約するが、真実が突然消えてしまい……という恋愛ミステリー。架を藤ヶ谷太輔さん、真実を奈緒さんが演じた。昨年結婚を発表し、架の友人・美奈子を演じた桜庭さんに結婚生活や映画について聞いた。
◇観客として見ると「ヤバイ人」? 初めての役どころにやりがい
「美奈子は周囲に対して強く当たるタイプ。私はこれまで純粋に真っすぐ進んでいくキャラクターを演じることが多かったので、今までに演じたことのない役でした。チャレンジでもあり、やりがいもあり、とても楽しかったです。登場シーンも短いので作品の中でピリッと効かせられるか不安もありましたが、完成した作品を見て美奈子の存在が生きていて、ホッとしました」
美奈子は、架と長年の友人関係にあり、要領よく生きてきた“勝ち組”タイプ。自分の考えをはっきりと口に出し、架から真実を紹介されると、思わず架の元カノと比べるような発言をする。
演じているときと、作品になってからでは、美奈子から受ける印象が変わったという。
「演じているときは架の友人として演じていたので、美奈子の意見も一理あると思っていましたが、観客として見ると、真実に対して伝えなくていいことを伝えてしまうヤバイ人だなと思ってしまいました(笑い)。
美奈子はとても純粋。友達を思う気持ちから許せないことがあって『真実に気をつけた方がいい』と架にはっきり言ってしまう。この、強くて純粋な部分が映画のタイトルとリンクして、傲慢でもあり、善良でもあるのかなと感じていました。
ただ、作品になって客観的に見てみると、架のためを思ってやっていたことが、違う人から見たら敵に見えてしまうというか……。他人からはこう見えるとこもあるんだなと勉強になりましたし、私自身も気をつけようと思いました。
登場人物がみんな不器用で、好きな人に振り向いてほしいが故の真実の行動も分かる気がしました。恋愛や結婚で悩んでいる人には、いろいろなアドバイスをもらえる作品。いろんなことを感じてもらえたらうれしいですね」
◇「突然、結婚が現れた」 結婚するという自らの決断に驚き
「こんなにもお互いのことを思えるってすてきですし、お互いのダメなところも認め合いながら、少しずつ前に進んでいく姿がとてもいいなと思います」と架と真実の関係を語った桜庭さん。
自身は昨年、30歳で結婚。約1年がたった。
「こんなに早いタイミングで結婚するとは思っていませんでした。突然、結婚が現れたという感じ。自分が結婚すると決断できたことが、いちばんの驚きだったんです。
30代は駆け抜けたいという気持ちがあったからこそのタイミングだったと思いますし、周りの人の話を聞くと、ズルズルと考えたら結婚できないよっていう言葉もあって。よしっと決断しました」
結婚後の生活は、独身時代とそれほど変わらないものの、「強い味方ができ、気持ちがラクになった」という。
「いろんなことがあったとしても、家族だからこそ、この人だったら味方になってくれるっていう絶対的な自信がついた気がします。
家に帰るのが毎日とても楽しいですし、誰かがいてくれることがうれしい。1人でいることも好きなんですけれど、誰かがいる幸せを感じるようになりました」
いま大切にしているのは「家族との時間」。
「結婚して、より家族の大切さを感じるようになりました。今までは自分だけのことを考えていましたけれど、夫、夫の家族、自分の家族と過ごす時間をとてもありがたく感じています。
この1年、鹿児島の実家へ帰る頻度も増やしました。実家に帰っていっしょに食事をするだけで、こんなに喜んでくれるんだと改めて気づいたので、これからそういう時間も大切にしていきたいですね」
*……映画「傲慢と善良」は発行部数100万部を突破した辻村深月さんの小説が原作。長年の恋人に振られ、マッチングアプリで婚活を始めた西澤架。アプリで出会った真実と交際を始めたものの、1年たっても結婚に踏み切れない。しかし真実からストーカーの存在を告白され、真実を守ろうとようやく婚約するが、真実が突然姿を消す。両親や友人、同僚、過去の恋人を訪ねて居場所を探すうちに、知りたくなかった真実の過去と嘘を知ることになる。思わぬ場所で再会した2人がたどり着く“一生に一度の選択”を描く、感動の恋愛ミステリー。