日本の名湯：秋田・抱返り渓谷にある秘湯　小鳥のさえずり、木々のさざめきに癒やされる　「夏瀬温泉 都わすれ」

　温泉宿「夏瀬温泉 都わすれ」（秋田県仙北市）は、武家屋敷で有名な秋田新幹線角館駅から細い山道をひたすら車で走って40分ほどの、田沢湖抱返り（だきがえり）渓谷県立公園にある。江戸時代からこんこんと湧き続け、行きやすいとは言えない場所にもかかわらず、多くの人に愛されてきた古湯だ。

　全10室のすべてに露天風呂が付いており、湯につかりながら美しい渓谷の眺めを堪能できる。自然に抱かれた露天風呂での湯浴（あ）みは、小鳥のさえずりや木々のさざめきと緑のにおいなどに癒やされる。

　客室の露天風呂以外にも内風呂のみの大浴場と貸切露天風呂がある。すべての浴槽には源泉そのままの湯が注がれており、やわらかく少しとろみのある優しい湯が体を包む。

　大浴場の壁や床は板張りで、浴槽や桶なども木を基調にしており、ぬくもりと落ち着きのある空間になっている。洗い場の隣同士との間や浴槽との間にも木製の仕切りがあり、他の客のシャワーのしぶきに一切、煩わされないのもいい。

　貸切風呂は大きな岩造りの露天風呂と打たせ湯があり、ゆったりとプライベートな湯浴みを楽しめる。日帰り入浴も可能だ。

　余分な皮脂や角質をオフして肌のターンオーバーを助け、さらに潤いを与え、ハリと弾力のある肌に導く効果が期待できる泉質で、湯上りにはみずみずしい肌になった。

　客室は、和モダンからエレガントスタイルの洋室までそれぞれ違ったしつらえなのも魅力。季節のフルーツがウエルカムスイーツとして用意されており、作務衣（さむえ）と浴衣、バスローブもそろっており、好みのくつろぎウエアで過ごせる。

　食事は、みずの実やひらきなめこ、塩釜ひがしものマグロなど旬の秋田や東北の新鮮な食材をふんだんに使った和会席。きりたんぽ鍋や稲庭うどんなど秋田の郷土料理がメニューに組み込まれ、まげわっぱなど伝統工芸品を使った器も使われており、秋田らしさを随所に感じられる。

　秋田の地酒やワイン、クラフトビールなどもそろっている。また、朝食の炊き立ての土鍋ご飯や地野菜たっぷりの食事は、起きたばかりの体にうれしい。

　＜プロフィル＞

　朝香。モデル・美肌温泉家。慶応大卒。温泉ソムリエアンバサダーなど数々の温泉資格を持ち、日本温泉気候物理医学会など多数の学会に所属。美容効果が期待できる温泉やその効能をより引き出す入浴法を広めようと日々活動している。自治体の観光PRの監修・アドバイザーなども務める。