あなたにおすすめ
キム・ミンジュ:「IZ*ONE」元メンバー 妹は「一番正直になれる相手」 甘いものが大好きで「日本のクリームはおいしすぎ」
下呂温泉街を見下ろす高台に建つ「湯之島館」。下呂富士と呼ばれる「中根山」を車で登っていくと、中腹あたりに樹齢数百年のスギやヒノキの大木に囲まれた、伝統的な数寄屋造りの建物が見えてくる。本館は昭和6年の創業当時のままの姿を残しており、国の登録有形文化財である。
5万坪という広大な敷地に、本館・別館・景山荘・洋館(娯楽館)と四つに分かれており、玄関や客室、待合ロビーなどはもちろん、廊下も天井や窓、柱などの細工に凝っている。竹細工が随所に施され、その細かで精巧な細工に目が奪われる。また洋館は、レトロモダンかつ重厚な造りで、ほかとは雰囲気がまったく異なる。どこを見ても美しく、まさに歴史と芸術が織りなす作品だ。
客室は本館・別館・景山荘にある。洋館は貸切風呂やクラブ、音楽室などを擁した娯楽棟で、アールデコ調の彫りを施した重厚な手すりや柱、瀟洒(しょうしゃ)なシャンデリアやステンドグラス、手焼きのタイルなどさまざまな素材を使った美しい造りだ。そして高低差を生かした日本庭園は、四季折々さまざまな表情を見せてくれる。
筆者が宿泊したのは特別室の一つ「山楽荘」。上皇・上皇后陛下が宿泊された部屋だ。かけ流しの温泉が注がれる内風呂・露天風呂があるのがうれしい。客室内はもちろん、玄関から引き戸や壁などさまざまな細工が施されていて、思わず見入ってしまう。
浴場は、大浴場と貸切家族風呂。大浴場は温泉街を見下ろす展望風呂が内と外に。貸切家族風呂は三つあり、筆者は七宝焼きタイルが印象的な七宝泉へ。浴室の大理石やタイル使いの美しさはもちろん、途中の廊下や階段にあしらわれたタイルや彫りも見事で、脱衣室もインテリアや家具に凝っている。
湯はマイルドで肌に優しく、余分な角質をオフし、肌を柔らかくして、スキンケアアイテムの吸収力やメイクのりもアップする効果が期待できる。
食事は、飛騨牛など岐阜の特産やあまご、アミタケなど初秋を感じられる食材を使っている。伝統的な会席料理で洗練された味わい。器も凝っており、目でも楽しめる。
なかでも一番心に残ったのはスタッフだ。どのスタッフも生き生きと笑顔で、心のこもった応対をしてくれる。それがこの美しい宿で過ごす時間をさらに素晴らしいものにしてくれた。
<プロフィル>
朝香。モデル・美肌温泉家。慶応大卒。温泉ソムリエアンバサダーなど数々の温泉資格を持ち、日本温泉気候物理医学会など多数の学会に所属。美容効果が期待できる温泉やその効能をより引き出す入浴法を広めようと日々活動している。自治体の観光PRの監修・アドバイザーなども務める。