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阿武隈川の美しい源流のほとりに建つ、和風の一軒宿「元湯甲子(かし)温泉 旅館大黒屋」。山あいにひっそりとたたずむその旅館は、白河藩主・松平定信がこの地に別荘を建てるほどに愛した温泉だ。余分な角質や皮脂をオフしてくれる効果が期待できる泉質だ。
名物は「大岩風呂」。30人くらいはゆったり入浴できる広さの内湯だ。鳥居の湯口から流れ出す温泉と、足元から浴槽へ直接湧き出る温泉がある。温泉は「鮮度が命」と言われることもあり、空気に触れることなく浴槽に湧き出る温泉は、劣化しにくく温泉の持つ“パワー”を最大限発揮する。浴槽の中には「なでると子宝に恵まれる」と言い伝えられている「子宝石」がある。
混浴大浴場では、湯あみ着やバスタオルなどの着用を禁じているが、女性専用時間が夜と早朝に2時間ずつある。また年に数回、女性限定の日があるので、時間を気にせずに楽しむならその日を予約しよう。同じ源泉の女性専用浴場「櫻の湯」もあるので、大岩風呂に入れない時間はこちらへ入るといい。
大岩風呂と違う泉質の源泉をひいた「恵比寿の湯」もある。恵比寿の湯は、男女別で、露天風呂もあり、大岩風呂の効能に加えて、切り傷など肌のトラブルにも効能があると考えられている。大岩風呂、櫻の湯と同様に、源泉に手を加えずそのままかけ流している。大岩風呂と櫻の湯には洗い場がないので、恵比寿の湯で体や頭を洗ってから行くといい。
館内はキレイにリフォームされており、とても快適だ。客室には温水洗浄便座や大きな洗面台もある。水道水と、“阿武隈川の水”のカランがあり、いつでもおいしい水が飲める。
食事は、山菜や川魚をふんだんに使ったヘルシーなもの。脂ののった福島牛を源泉で蒸したメニューは、さっぱりしていておいしい。朝食も野菜たっぷりのサラダや手作り豆腐などが食べられる。器もシンプルでおしゃれなものを使っていて、女子旅向きの旅館だ。
<プロフィル>
朝香。美肌温泉家。慶応大卒。温泉ソムリエアンバサダーなど数々の温泉の資格を持つ。大学時代に日本中世史を専攻、さまざまな地域の歴史について学ぶ。モデルとして活動する一方、温泉の魅力やその効能を引き出す入浴法を広めようと活動している。