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日本の名湯:ケーブルカーで渓谷を下って温泉へ 徳島・和の宿 ホテル祖谷温泉

 緑深い山々に囲まれ「日本三大秘境」の一つにも数えられることがある徳島・祖谷渓(いやけい)に湧く温泉がある。たどり着くには、急な渓谷をケーブルカーで降りて行かなければならないという究極の秘湯だ。その秘境感と、新鮮で豊富な湯量、そして地元食材が満載のおいしい食事が自慢の宿が「和(な)の宿 ホテル祖谷(いや)温泉」。祖谷渓の中腹にたたずむ1軒宿で、立ち寄り湯も楽しめる。

 ケーブルカーは運転士がおらず、客自身が運転する。運転はボタンを押すだけなので子供にもできる。しかしこの運転が、子供の頃に戻ったように心踊る。非常に険しい渓谷を少しずつ降りて行くというのも、冒険心をくすぐられる。

 祖谷温泉の泉質は、アルカリ性単純硫黄温泉。エメラルドグリーンがかった透明の湯で、白い湯の花がひらひらと湯の中を舞う。卵の腐ったような温泉らしい香りがふんわりと漂い、とろんとした肌ざわりに包まれる。体感で38度ほどのぬる湯で、のんびり長湯を楽しめる。入っているうちに体が芯までじんわりと温まっていくのが分かる。

 露天風呂は源泉湧きたてのまま一切手を加えていない。洗い場はないので、館内にある内湯で体を洗ってから入浴しよう。要らない角質や皮脂を落としてくれるので、湯上がりの肌は、絹のようにしっとりとした柔らかさが感じられるだろう。アトピー性皮膚炎などの改善を期待できるとされている。

 夕朝食は食事処(どころ)でいただく。鳴門金時や春菊、アメゴなど、徳島で四季折々に採れる山の幸を存分に食べられる。どの料理も素朴だが滋味あふれるものばかり。朝食は汁物やサラダなど一部がビュッフェになっている。自分の好みでメニューや量を選べるのも楽しい。

 <プロフィル>

 朝香。モデル・美肌温泉家。慶応大卒。温泉ソムリエアンバサダーなど数々の温泉資格を持ち、日本温泉気候物理医学会など多数の学会に所属。美容効果を期待できる温泉やその効能をより引き出す入浴法を広めようと日々活動している。自治体の観光PRの監修・アドバイザーなども務める。

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